6歳、、、いや5歳、、、? それとも、もう少し大きかったろうか?とにかく多分その頃。デパートの輸入雑貨ショップでそのぬいぐるみは燦然と輝いていたのだ。
おそらく北欧のどこかのお母さんが一生懸命作ったであろう【ぶうぶう】は、私の心を瞬殺したのだ。
陳列棚からそっと抱きかかえ もー 離したくない。

小娘の葛藤が蘇る。
買ってもらえないような気がする。。。。だけど、今後出会える確率は皆無に思える。
一縷の望みをかけ、困った顔の母をかえり見たんだよ。
ああ、お願いですから。。。。。
私は駄々をこねるタイプの子供ではなく、欲望をぐぐっとこらえる健気な子供であった。その健気さに免じて買ってもらえることも多かったので、その時も時が満ちるのを懸命に待ってみた。
子供心にその金額は果てしないものだったように記憶している。手に入らない事も十分ありえるぞのお値段であるコトは困った顔の母を見ればワカル。
無駄な祈りと同時に出来る手立てのもう一つとして、複雑なつくりを頭に叩き込もうとした。何とか自力で作れないものかと必死に眺めた。今はムリでもやがて、、、、
【ぶうぶう】は、お腹にホックが4つ縦に並んで縫い付けてある。ホックを外すとお腹が袋状に開く。
おずおずと開いたお腹を開けると、なんともカラフルでかわいらしい子豚がわらわら出てくるのだ。
8匹の子ブタのかわいらしさに心奪われ、夢のような仕組にため息が漏れないはずがない。

可愛い子豚の鼻ずらにも、ご丁寧にホックが縫い付けてあって、お母さん【ぶうぶう】のお腹のホックにぽちっとくっつくのだ。とうすると誕生した子豚は、一生懸命お乳を飲むかわいらしい子豚になる。ホックは子豚同士も鼻で「ちゅっ」とくっついたりするのだ。
うっとりだっ ああうっとりだよ。
【ぶうぶう】のボディーは色とりどりの端布で丁寧にパッチワークされ、お母さんと子豚たちの家族は
にぎやかで カラフルで、夢のようじゃないか。 ああ、夢のようじゃないかぁーーーーっ
あん時なんで、泣き叫ばなかったかっ!? ホールに大の字にひっくり返る勇気がなぜなかったのか?悔やんでも悔やみきれないのだけど、脳内にばっちりと焼き付いたその仕組みが私の制作を支え続けている。
どうにかして、なんとか、アレを手に入れたいという欲望のトモシビは、ん十年たった今でも消えておらず、時折反芻しては制作するタイミングを狙っておる次第です。
ひょっとして今の自分なら再現できるんじゃね?
そう思いながらも作ってしまった時に起こるであろう、満足感。その後にくるどうしょうもない猫跨感を恐れて、具現化する勇気がいまいちナイ事も事実であります♪
よーく よーく 覚えている。 よーく 覚えている。
いまだに手出しできない【おもいでのぶうぶう】